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【恋愛物語】青春時代を過ごして…
親友との出会い
人を好きになる事がこんなに激しい気持ちだなんて知りませんでした。
生まれて初めてできた彼女の存在に浮かれて舞い上がる日々。誰かにこの喜びを伝えたくて、専門学校の同じ寮の一番の親友にどこに行って何をしたかを逐一伝えていました。
彼もしばらくして彼女ができたので、お互いに恋愛に関する情報交換って感じで。やっぱ誰かに聞いてほしいですから(笑)
親友の名は「ユキヤ」。
年齢は僕より3歳年上のお兄さん。おしゃれ大好きでいろいろファッションの事を教えてもらいました。
この時はまさか彼が恋のライバルになるなんて夢にも思いませんでした。
この、彼女のことを逐一ユキヤに伝える行為が、未来、運命のトリガーになるだなんて…。
ユキヤは彼女とラブラブだったのですが、意外と長続きせず、半年ほどでフラれていました。
その時のユキヤの落ち込み具合は半端なく、急にお金を散財しまくり、全身をBEAMSで固めるようになり…。
この彼女と長続きしていれば、運命はまた違った形になっていたのかもしれません。
アミの両親との面会
年齢=彼女いない歴だった僕は、大阪に来たばかりでよく土地の事を知らない事もあって、大阪の有名なデートスポットを数々アミに連れてってもらいました。
中でも僕のお気に入りは梅田にある「空中庭園」という屋上に展望台がある高層ビルのデートスポット。
屋上はもちろんカップルだらけでロマンチック過ぎました(笑)
彼女が京都の人ということもあり、京都へもよくデートに行きました。中でも僕のお気に入りは清水寺、嵐山、京都駅ビル。和風カフェでよく和風スイーツを食べてました。
何度目かの京都デートの際に彼女の両親にも会いました。お父さんはサーファーとの事でオシャレで気さくな方だったので特別緊張はしなかったのですが、後から考えるとあの席は実は審査だったのだと気づきました。
そう、アミは伝統ある温泉旅館の後取り娘。
その結婚相手候補という位置付けだったのです。
当時の僕は、全く深く考えていなかったのですけど(笑)
【恋愛物語】本当の夢
卒業後の進路は…
僕らの通う調理の専門学校は基本1年で卒業。ですがより技術を勉強したい場合はもう1年通う事ができます。僕は1年で卒業。アミは2年目に進む形でした。僕はバイトと授業を両立しながらアミの家に入り浸りで幸せな日々を送っていました。
送っていたはずでした…。
アミは僕と全く同じ気持ちというわけではありませんでした。
一緒に過ごす時間が増えるにつれ、親元でのうのうと暮らしていた僕とは全く別次元の表情を見せるようになりました。
ジレンマ
彼女は本心では旅館の後継者になりたいわけではありませんでした。彼女は絵を描くなど芸術的な才能があり、本当はアーティストの道を歩みたかったとのこと。でも両親、祖父母の期待を裏切る事もできず、深いジレンマを抱えていました。
「死にたい…死にたい…」
マンションのベランダでボロボロ泣いているアミの後ろ姿を見て、僕は何もできませんでした。彼女の抱えている闇を理解する事が出来なかった。
自分の事で精いっぱいだった未熟な僕は、それどころが彼女の闇に気付こうという気持ちがありませんでした。
全くもって精神的に子供でした。
誰かを思いやるとか、気持ちに寄り添うという価値観がありませんでした。何もできなかったというよりは何もしなかったのです。後になって考えてみれば、フラれて当然だったと思います。そして彼女の抱えていた闇の本質を知るのもう少し後の事でした。
【恋愛物語】卒業してから
遠距離恋愛
僕は無事学校を卒業して志望していた中華料理のレストランに就職します。
アミは1年で卒業せず、2年次に進級しました。卒業後は実家に戻るために料理の勉強を深めたかったようでした。
僕の就職先のレストランの場所は大阪府内でしたが、場所は和歌山寄りの所にあって寮を完備していた事もあり、住んでいた大阪市を離れ、泉南市で寮生活を始める事になりました。
同じ府内でしたが電車で40分くらいの距離になりました。
今までずっと一緒だったアミとは週に一度の仕事の休みの日に会うだけになりました。
親友ユキヤとアミの出会い
親友のユキヤも学校を1年では卒業せず、特別コースの2年次に進級していました。彼も実家の家業を継ぐために料理の勉強を深めたかった様子でした。
僕はユキヤにはアミとの事を、アミにはユキヤたちとの寮生活の事を話していたので、共通の存在の僕を介して、2人は2年次で出会って友人として親しくなるのは当然の流れでした。
当の僕もアミからユキヤと会った話を聞いていたので全く何かを疑う事はありませんでした。
そう、疑惑の存在は、ユキヤではく別の人だったのでした。
ベッド事件
毎週のように休みのたびにアミの家に来ていたのですが、ある時ベッドが壊れたから直してほしい…とアミに言われ、トンカントンカン直していました。何の疑いもなく…。全くもってバカなピエロだと後になって自分でも思います。当時の僕は全く気付いてなかったのです。
ベッドが壊れた理由が、他の異性と浮気しているから…ということを…。
ある日、彼女から他に好きな人ができたことを告げられました。
僕は目の前が真っ暗になりました。現実を受け止めらませんでした。
理由を聞きましたが、自分はもともとそういう女だと…告げられました。
福岡出身の同じ料理学校の男性と付き合っているから別れたいと…。
どうしていいかわかりませんでした。アミを失いたくない…失ったら自分はどうなってしまうのだろう…と。
【恋愛物語】壊れそうな心
取り繕うだけの自分
薄っぺらい僕は、後日再び会う際に、自分がいかにショックを受けているかをアピールするために、吸ったこともなかったタバコを吸いはじめ、急にピアスをするようになりました。
アミは、急なことで僕がショックを受けることを気にして、急に会うのをやめようとはしませんでした。
ただ、今まで恋人同士がしていたようなことは一切なくなりました。
アミは、僕がタバコを急に吸いだしたことなどについては特別触れてきませんでした。
一人じゃないなんて…
さらに驚くべきことにアミは、新しい彼氏の他に3、4人付き合っている?男性がいることをほのめかしてきました。
僕には全く意味がわかりませんでした。
しばらくたって後になってから気付くことになるのです、彼女は自己承認欲求が強い事を…。
欠落した何かを埋めるには一人では足りないのだと…。
それはつまり、自己肯定感が欠如するような時間を過ごしてきた…ということでした。
③に続く。